今月のヒント 毛細血管からの採血

今月のヒント 毛細血管からの採血

「微量の血液の安全な採取」

微量採血において毛細管採血が小児科以外でも主流の方法となっています。血液ガス分析や血糖値同定においてはまさに毛細管採血が頻繁に行われています。

この採血は容易な採血と言われてはいます。「指か耳たぶに穿刺する『だけ』のことで、失敗などありえるでしょうか?」しかし本当にこの通りでしょうか?

以下では毛細管採血の方法と、最適なサンプルを取得するためにどんなミスの原因をなくすべきかについてご説明します。

毛細管血とはいったい何か?

毛細管血とは、動脈、静脈、毛細管の血液と組織液からなる混合液です。

毛細管採血を行うのはどんなときですか?

小児科において毛細管採血はサンプルを取得するために確立した方法です。このほかにも入院患者の血液ガスや血糖値同定の際も毛細管血を採取します。さらに毛細管採血はPOCTデバイス(Point of Care Tests) を用いる患者の立場に立った供給を行う際にも行われます。

最適な穿刺箇所はどこですか?

穿刺箇所としては上図に示すように、指先の腹脇、耳たぶ、かかとが最適です。

注記:

指先の腹に穿刺する際、血液供給がこの部位では少なめなことと患者がたいへん痛がる部位なので指の腹の中心に穿刺することはできません。同様に親指も毛細管採血には適していません。

乳児の場合も指の穿刺で骨を負傷する危険があるので、この方法はお勧めできません。

重要なことは、大部分が組織液から成るので穿刺初期の血液の雫を破棄することです。

毛細管採血のために必要なものは何ですか?

消毒液、無菌パッド、無菌手袋、セーフティーランセット、Safety-Heel®、対応するサンプル容器(Microvette®、Minivette®、 Multivette®)、きずテープ、ごみ箱

毛細管採血で注意すべきことは何ですか?

役立つこととしては、穿刺箇所を揉むなどして最初に温めておくことで血液の流れを促します。穿刺箇所の消毒後は、この部分が完全に乾燥していることに注意してください。濡れていると血液分解性のサンプルになるとかサンプルが希釈されるからです。

基幹的な毛細管は外皮から0.35~1.6 mm下にあります。穿刺箇所と必要な血液量に応じてセーフティーランセットとSafety-Heel®の製品ラインの中から最適なサイズをお選びになれます。

原則的に採血中は穿刺箇所をつままないことが重要です。これをすると血液が組織液で薄まり測定値の誤差が大きくなります。

サンプル容器の使用法は?

毛細管採血をエンド・ツー・エンド毛細管を使用する毛細管テクニックによったり採血エッジによる採血のオプションから選ぶことができます。

キャピラリーやサンプリングチューブの端々であっても、臨床、パラメータ分析に有効に使用できます。

毛細管や採取容器を水平または若干傾けたままにすることにご注意ください。

重要なこととして、サンプル容器に血液を充填したら「頭の上へ」回すことです。

毛細管採血をしてはならない状況とは?

毛細管採血では微量の血液しか採りません。検査会社での網羅的検査項目の場合これでは不足することがしばしば生じます。血液成分が原因で凝固分析を行えないことにも注意する必要があります。

患者がショック状態にあったり異常に低温下にある場合、毛細管採血を行うことはお勧めできません。

終わりに:

毛細管採血は微量採血のために迅速かつ容易な方法です。穿刺箇所とランセットのサイズを正しく選択することにより患者は痛みをほとんど感じなくなることも可能です。

今月のヒント 毛細血管からの採血

 

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